鼠径ヘルニアについて
- 鼠径部が膨らむ病気です
- 鼠径部とはお腹の下側、足の付け根の少し上のあたりのことです
- 鼠径部の筋肉が脆弱になっていることが原因です
- 鼠径ヘルニアは腹膜の病気です
- 腹膜とは大きな袋のように腹部内臓を包み込んでいる薄い膜です
- 腹膜がお腹に力が入ったり、立ったりすることで腹圧によって押し出されるために鼠径部が膨らみます
- 治療方法は手術のみです
鼠径/大腿ヘルニアの治療方針
- 治療方法は手術しかありません。
- 致死的な病態になることはありませんので、患者さんとよく相談し、手術を行うか相談しております。
- 嵌頓症例は全例手術を勧めています。
- 大腿ヘルニアは嵌頓整復が困難であることが多く早めの手術をお勧めしています。
鼠径/大腿ヘルニアの治療方針 |
治療希望あり |
手 術 |
治療希望なし |
外来経過観察 |
鼠径ヘルニアの術式選択 (1)
メッシュを挿入する所謂テンションフリー手術を行っています。
鼠径/大腿ヘルニア |
| 鼠径部切開法 |
腹腔鏡法 (TAPP) |
麻酔方法 |
腰椎麻酔 |
全身麻酔 |
手術時間 |
30分程度 |
60分程度 |
入院期間 |
5日間 |
4日間 |
鼠径ヘルニアの術式選択 (2)
再 発 鼠 径 ヘ ル ニ ア |
Hybrid法: 腹腔鏡下に観察し可能であれば通常の修復を行いますが、腹腔鏡手術が困難であると判断した場合にはヘルニア部位を同定して鼠径部切開法で行います。 |
若年女性ヘルニア (30歳以下) |
原則高位結紮法のみ(メッシュ挿入なし)としています。従来鼠径部切開法で行っておりましたが、腹腔鏡法(LPEC法)を導入し、腹腔鏡による更にちいさな傷で手術することができます。
本人希望あれば大腿ヘルニア予防に腹腔鏡下にメッシュ補強も施行しております。 |
腹腔鏡下ヘルニア修復術について
病変対側ヘルニアが見つかった場合、同時手術可能です。
術後、鼠蹊部切開法に見られる鼠径部の張りや痛みはほとんど認めず、早期の社会復帰が可能です。
術後7日目の写真
臍切開および5mmの傷2ヶ所で行います
鼠径部切開法
- 鼠径部の皮膚を5cm程度切開して行う方法です
- 原則、腰椎麻酔(下半身のみにかかる麻酔)で行っています
- 腰椎麻酔が困難な方の場合は局所麻酔もしくは全身麻酔で行います
- 術後3日目、退院となります(4泊5日入院)
入院から退院までの流れ |
1日目 |
オリエンテーション、手術の説明など |
2日目 |
午後手術(当日夕方から軽食がでます) |
3日目 |
点滴、尿道カテーテルの抜去 |
4日目 |
創部の観察を行います |
5日目 |
退院 |
腹腔鏡アプローチ法(TAPP)
- お腹に小さな傷3ヶ所で行う手術です。(整容性に優れています)
- 全身麻酔で行います。
- 両側の病変に対して同じ傷で同時に行う事ができます。
- お腹の中に炭酸ガスを入れて膨らませた状態で手術を行います
→ヘルニアの部位がはっきりと確認できます
- 術後2日目に退院となります。(3泊4日入院)
入院から退院までの流れ |
1日目 |
オリエンテーション、手術の説明など |
2日目 |
午後手術(当日夕方から軽食がでます) |
3日目 |
点滴、尿道カテーテルの抜去 |
4日目 |
退院 |
成人鼠径ヘルニア手術の術式の割合