椎間板内酵素注入療法

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腰椎椎間板ヘルニアとは、腰にある背骨(椎骨)と背骨をつないでいるクッションの役割をしている椎間板から中心にある髄核が飛び出し、神経に触ることで下肢の痛みやしびれ、筋力低下を生じる病気です(図1)。

症状は、腰痛や下肢の痛みやしびれ、筋力低下の他、稀に排尿障害が出現することもあります。

椎間板ヘルニアの治療は、保存療法から始め改善のない場合や麻痺が生じた場合などに手術療法が選択されます。
状況によっては、緊急手術が必要なこともあります。

治療法)
一般的には、

  1. 保存療法:安静、薬物や神経根ブロック(注射)などによる疼痛コントロール、リハビリ、装具など
  2. 手術療法:全身麻酔で、直接飛び出した椎間板ヘルニアを取り除きます。入院が必要です。
  3. 椎間板内酵素注入療法

局所麻酔で当該椎間板に酵素(コンドリアーゼ)を注入しますので、保存療法と手術療法の中間的な位置づけになる治療です。
この治療は、椎間板内に薬剤を注入(図2)して、ヘルニアが縮小する(図3)のを待ちます。

手術療法に分類されてはいますが、切らずに注射だけで行う治療です。
この薬剤は、椎間板の髄核にあるプロテオグリカンを分解する酵素(コンドリアーゼ)を含んでおり、髄核内の保水成分を分解しふくらみが和らぐこと(=小さくなること)で、神経への圧迫を軽減し症状の緩和に期待する治療になります。手術と違い直接ヘルニアを取り出す治療ではないので、注射直後から痛みやしびれがなくなるようなことはありません。
2018年8月に発売された比較的新しい薬(治療法)になります。学会で認定された施設でしか治療できません。
注射をするだけですが、保険診療での扱いは手術に分類されていますので、手術をした場合に支払われる任意保険に加入されている方は該当しますので、診断書作成の申請を行ってください。